4.災害に対する危機管理
   ・「自助・共助・公助」とは

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自助・共助・公助の三助とは何か


「自助」は災害時に自分自身の命は自分で守るということ。

「共助」は町内会や学校区くらいの顔の見える範囲内における地域コミュニティで災害発生時に力をあわせること。

「公助」は公的機関が個人や地域では解決できない災害の問題を解決することを言います。

イメージとして自助→共助→公助となるに従って対象となる範囲やスケールが大きくなっていきます。

災害時の対応はどれか一つだけあれば良いという訳ではなく自助、共助、公助の全てが大切であると言われています。

「自助」は自分自身を助けること。

「互助」は近隣住民で助け合うこと。

「扶助」は藩が助けに乗り出すことです。

上杉鷹山は財政が破綻していた当時の藩をこの三助の実践に基づいて、奇跡的に立て直したと言われています。

いざという時には国が助けてくれるだろう、地震で家が半分壊れてもすぐに救助隊が国から派遣されてくるのだろう、と考えてしまう人も多いかと思います。

しかし、実際の災害の場では国にできることには物理的な限界があるので、地域コミュニティや自分自身で解決しなければならない瞬間が必ずあるのです。

国を構成するのは地域コミュニティであり、地域コミュニティを構成するのは個人です。

他の人たちのために自分は一体何ができるのだろうかという発想から防災を行うことが求められているのです。





自助とは何か?


まず自助についてですが、これは災害時には自分の命は何はともあれ、自分で守るという考えです。

当たり前ですが、そもそも自分の命を守れなければ、他の人や地域の安全を守ることもできません。そのために防災の知識を身につけるのも一つの方法ですし、地震などに備えて、防災グッズを常備しておくのも一つの方法です。

大規模災害が発生してから何かをするのでは遅い時もあるので、大規模災害が発生する前からそれに備えてしっかりと準備しておくことが大切です。

スポーツは試合当日ではなくて、試合に至るまでの練習の段階で99%決まるなど言われていますが、防災にもそれが当てはまります。

公助とは何か?


公助とは公的機関が個人や地域では解決できない問題を解決することです。東日本大震災の時には、自衛隊の方々の活躍が報じられましたが、まさにあれが公助に当たります。

個人や地域コミュティで自衛隊レベルのエキスパートを揃えておくことは不可能ですので、そこは国が整備して日本全体をカバーします。

実際に日本では災害対策基本法や防災基本計画等で、法的にその役割が定められています。

ただし、先ほども申し上げましたが、大規模災害が発生した際に、なんでもかんでも国に任せればいいという訳にはいきません。

例えば阪神・淡路大震災の時には、被災者の数は30万人以上に上りましたが、地震当日に対応できる自衛隊の人は、約8千人しかいませんでした。国ができることには、物理的な限界もあるので、その際には地域コミュニティの共助が大切になってくるのです。

共助とは何か?


共助とは、町内会や学校区くらいの顔の見える範囲内における地域コミュニティで災害発生時に力をあわせることを言います。

自助では、災害を乗り切ることができなくて、かつ公助ではカバーしきれないような細かい範囲まで共助では助け合うことができます。

最近は、近所付き合いなども疎遠になりつつあると言われており、「無縁社会」や「孤立死」などのキーワードが、定期的にニュースでも報じられている通り、地域と個人との結びつきは疎遠になりつつあります。

しかし一方で、日本の高齢化はますます進んでおり、単身の高齢者が増えてきているので、自助で災害を乗り切るには限界があり、今こそ共助の精神が大切なのです。

実際に地域で助け合わない冷たい街という印象の強い東京でも、あらゆるところで共助の防災対策がされています。

例えば富士見・飯田橋駅周辺地区帰宅困難者対策地域協力会では富士見・飯田橋駅周辺の町会、企業、大学、ホテルなどが共同で災害時の備えを行っています。これこそまさに、共助を形にしたものであり、他のエリアでも同様のことが見られています。

まだまだ日本、地域、個人のそれぞれで防災についてできることは多くありますが、自助・共助・公助の三助のそれぞれがうまく絡み合うことで、たとえ大きな災害があったとしても、被害を最小限に抑えることができるのです。