1.災害とは何か
a. 災害の定義
「災害」という言葉には様々な定義があり、災害医学の権威であるGunnは
「重大かつ急激な出来事による人間とそれを取り巻く環境との広範な破壊の結果、被災地域がその対応に非常な努力を必要とし、時には外部や国際的な援助を必要とするほどの大規模な非常事態のことをいう」
としている。
災害には被災地域の「インフラストラクチャー(火・水・電気・通信網・道路網]を含む対応能力が大きく関与している。環境破壊の程度が同程度であっても災害の大きさは国や地域で異なる。
災害は人間とそれを取り巻く環境との相対的関係で成立するもので、環境破壊の規模や激しさだけでその災害の程度を単純に規定することはできない。
b. 災害の種類
自然災害
地震
地震災害は地震の大きさ(マグニチュード;M)、強度、震源地からの距離、地盤の脆弱性、建築物の耐震性、人口密度、発生時間など様々な因子の影響を受ける。一般にM5以上になると建物の被害が発生し、人的被害も発生する恐れがある。
地震はそれ自体で建築物などの崩壊による被害を生むが、火災、山崩れ、津波などの二次災害が発生するとさらに被害が拡大する。
津波
津波は海底地震や海底火山の噴火による海底の急激な上下変動によって発生する。
通常はM6.5以上の地震で発生するといわれている。
陸に押し寄せた津波は大きなエネルギーをもって家屋や人を押し流し、繰り返し襲うことで被害は大きくなる。
津波の伝播速度、高さは水深と関連しているが、地震の大きさ、海底の地形、到達する湾や陸地の形状などによっても異なってくる。
風水害
台風、洪水、竜巻、火山噴火被害、干ばつがあげられる。
台風や火山噴火被害に関しては、ある程度予測が可能で前もって災害対策が立てられる。
風水害
自然災害を確認しよう
人為災害としては、列車事故、飛行機墜落事故、ガス爆発、火災、化学物質の放出、放射能漏れ、テロなどがあげられる。ただし、国際的な災害援助が必要な人為的災害は限られる。
人道的緊急事態>
社会的、経済的、政治的にきわめて不平等な状況に置かれている国家や地域で、主に政治的要因として非常に大きな騒乱状態によって、人々が社会生活を営むのが脅かされた状態であり、それに対し国際社会が介入を試みる事態を人道的緊急事態と呼ぶ。
人為災害を確認しよう